2014/07/03
初めまして、こんにちは。
数学担当の高橋です。よろしくお願いします。
当館で教えるようになってからは、足かけ2年です。
割と小さい頃からピアノをやっているので。
今日は、身近なピアノの話を少ししようと思います。題して・・・
「ピアノについて~テクノロジーとともに」
先日知人が買った輸入ピアノがちょっと面白いということなので、お邪魔して弾かせて貰ってきました。鍵盤は6オクターブと少なく、(良く目にする普通のピアノより1オクターブと3音少ない)それにともなって幅も20cmほど狭く、楽器自体の重さも軽いので畳の部屋に置けるようなものでした。鍵盤をたたくと、やけに人懐っこい音がするような気がします。音の厚みは現代のピアノと比べられませんが、とても味のある響きがしました。知人によりますと、19世紀末のモデルだそうで20世紀初頭にドイツ人の学生(相当のお坊ちゃんだったらしい)が所有していた記録が最後なのだそうです。(ちなみに、屋根の部分に蝋やタバコの跡が焦げ付いていたので、ここでタバコを吸ったり燭台を置いていたりという当時の生活の一片もうかがえました。)
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現在、モダンピアノと分類される楽器はほぼ同じような構造でできています。一音について三本の弦が張ってあり、それをハンマーが叩く。このシステムが、現代においては、88個ついており、通常は“平均律”という決まりに基づいて調律されています。ですが、最初からこの楽器が88鍵で統一されて作られたわけではなく、18世紀から19世紀にかけて、すなわちクラシカルな音楽作品が出そろう頃には、様々な規格のものがありました。鍵盤の数も初期は5オクターブのものなど、音域はもっと狭かったのでした。中にはオルガン・チェンバロといった先輩にあたる鍵盤楽器などのように鍵盤が二段になっているものや、引き出しに鍵盤がしまえるタイプのものなど、変わり種のピアノもあります。
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ピアノは、オーケストラの『代用楽器』として使用されていたという理由もあって、広い音域を持っています。なかなか『代用楽器』という言葉には馴染みがないと思いますが、読んで字のごとく、『その用途の代わりとなる楽器』です。ピアノという楽器はそれまでの鍵盤楽器に比べて、極々小さな音から、広い部屋に行き届くような充分な音量まで出すことが出来ました。演奏者一人で、左手でチェロバスの低弦を鳴らしながら、右手でフルートとヴァイオリンの掛け合いを再現できるという優れものです。当然のことながら、この楽器は音楽家・音楽愛好家にとっての大ヒット商品となりました。用途に応じて、様々なピアノが考案・開発されました。技術の進歩によって、他の楽器がモダンな構造に改良されて音域が拡がり、5オクターブでは再現できない曲が出てくれば、それに応じてピアノメーカーはさらに広い音域をこの楽器につけ加えます。ピアノは西洋の近代化(modernize)とともにあったのです。
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ベートーヴェンは引っ越し魔として有名です。(引っ越しの動機として、近所との衝突、環境に対する不満、部屋が汚れて掃除が面倒だったなど色々理由があります。この件も面白いのですが、今回は割愛します。)その度にピアノを持っていったでしょうか?何十回もピアノを持ち歩くなんてことは到底できません。ベートーヴェンにはピアノ会社が、ピアノをレンタルしてくれる事情がありました。最新モデルをこの天才に使って貰うことは、芸術的な意味でも、投資的な意味でも、ピアノ会社にとってメリットのあることだったのです。ですから、彼は時期によってスケッチ(作品の下書き)に使用している“最も低い音(最低音)”が異なります。使用しているピアノの、鍵盤の数が違うのです。例えばピアノソナタ第11番は、当時のピアノの最低音であるFの音(真ん中のドから2オクターヴ下のドのさらに下のファの音)を試すようなセクションを含んでいます。こういった所からも、クラシック音楽とは古くさい音楽ではなく、当時の最先端を行くテクノロジーを巻き込んだ、貪欲な活動だったということがわかります。
古典期を通じて、ピアノは技術革新を経て表現力が増していき、“他人に聴かせるピアノのためだけの曲”というジャンルの曲が増えてくると、この楽器を弾きこなすために、市場には『エチュード(練習曲)』に対する需要が出てきます。
例えばハンス・フォン・ビューローという19世紀後半の指揮者がいますが、ヨハン・バプティスト・クラーマーというピアニスト(ピアノ製造や楽譜出版における企業家でもあった)の書いた練習曲の中から50曲をセレクトして練習曲集をつくりました。現在『クラーマー=ビューロー練習曲集』としてピアニストの卵の良い教材となっています。この教材は高度なテクニックを定着させるための様々なメニューが含まれている練習曲で、ベートーヴェンのソナタを弾くための技術の多くを、この教材を勉強することによって習得することが出来ます。本来の練習曲とは人に聴かせるためのものというよりは、ピアニストの内向きの事情によって量産されたのでした。
ということで、いずれ機会があれば『練習曲』について書きたいと思います。
高橋
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初めまして!
国語を担当しています、田中です。
学習塾の講師を始めてまだ日も浅いですが、日本の伝統文化や美意識などを「国語」という教科を通じて指導していけたらと考えております。
これからどうぞ宜しくお願い致します。
今回は、「漢字」についてお話をしたいと思います。
皆さん、漢字は得意ですか?不得意ですか?
アシストの生徒にこの質問をぶつけると、得意と不得意が半々に分かれます。(比較的に、女子生徒の方が苦手意識は低いようです。)
漢字の覚え方はいろいろありますが、私は以下の3点を意識して指導しています。
1, 漢字の意味を理解する。
2, 声に出して音で覚える。
3, 1と2が理解できたら、何度か繰り返し書いて覚える。
ある小学生の生徒が書いた漢字を見ると、偏やつくりのサイズがバラバラで、全体的にバランスの悪い漢字を書いていました。
近年、「美文字」が流行しています。
私自身も、美文字を手に入れようと去年から硬筆と小筆を習っています。
綺麗な字を書く上で大切なことは、漢字の形を細かく見ることです。
まずは意味をしっかり理解し、声に出して音で覚え、書くときには漢字の形をよく見て書いてみましょう。
漢字検定へ挑戦する生徒のサポートもしております!
お気軽にお声をおかけください。
田中
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2014/05/29
英語担当の内田です。
今日は前々から気になっていることを書きたいと思います。
新学期が始まってすでに2ヶ月近く。
中学1年生の学校での授業は一般動詞を用いた文が単元に登場し始めました。
I like tennis. とか You play soccer.とか I have a book in my bag.といった文です。
そこでこちらをお読みの保護者の方々に質問です。お宅のお子さんたちは、I haveの部分を I havaと発音していませんか?
邪道ですが、カタカナで書くと「アイ ハヴ」ですか、それとも「アイ ハヴァ」ですか?
小学校での英語教育が始まる以前から、それこそ四半世紀ほど前から気になっているのはそのことなのです。
表記よりも音声で英語に触れ始め、聞こえたとおりに発話する。
生まれ出てきた子供が親や家族の言葉を模倣し、修正され、徐々に一語文から二語文へ、そして意志を表明し始め、対話が始まる。
英語教育においても、まず耳から英語情報を入れ、オウム返しのように発話させ、ほめながら修正を加えていく。
どの言語においても、幼児の発話をほめてほめて伸ばしていくように英語も間違えてもいいからどんどん発話させるようにする。
典型的なレッスンは、まずは「ご挨拶」の応答で、
"Hello, nice to meet you" "Fine, thank you, and you?"
"What's today??" "It's Friday."(おそらく最初のうちは曜日だけ)
"How's the weather today?" "It's sunny."
次に"apple" "bike" "baseball" "tennis" "ice cream"のように身近なもの、 "blue" "red" のように色、 それから"run" "walk" "stop" "stand"等の動詞、"fine" "nice" "good" "bad"等の修飾語をいくつかずつ耳から覚えさせる。
そして"I like ~."や"I have~."といった定型文に覚えた語彙を入れたり、絵を見て言わせたり。
これは学校によって、会話スクールによって様々でしょうが、おそらくはこのスタイルで時折季節の風物詩を盛り込んだレッスンをする。たとえば七夕やハロウィーン、クリスマスのように。
問題はごくごく初期の段階で"What's~?" "It's ~."または"It's a~."という定型文を聞いて覚えてしまうことです。
問いかけの文で、TとSはリンクされてTS(ツ)になります。そして答える文ではTとSとAがリンクしてTSA(ツァ)になっています。
まぁ、実際の会話においてわざわざ分けて発音することは特別な場合を除いてはそうありませんから自然な音声といえます。
おそらく先生方の中には初期段階では分けて発音なさっている方もおられるでしょうが、少数派でしょうね。
次の問題点は持ち物や家族の紹介で"I have a bag." とか "I have a brother."とやることです。初期段階では複数形は出てきませんから単数の名詞を使います。
このときに "I have"という固まりと"a bag"という固まりをきちんと認識させずに文形式で一気に覚えさせてしまうのが当たり前のように行われているようです。
現場の意見も無論想像に難くありませんが、これが初歩の段階、一番好奇心も旺盛な時期、に最初にすり込まれます。
すると、どうでしょう。しばらくして複数形(bags, sisters等)が登場してきても音声として最初に申し上げた
"I hava bags."とか"What's do you like?"
のような発話をします。
身にしみついちゃってるわけですね、最初のリンキングが。
書くときはそれほどの影響は出ません。問題は発話するときです。
この癖を治すのはかなりの苦労です。一度治っても、しばらくしてちょっとした拍子に出てきます。中学1年生だけでなく中2や中3,現在会話クラスにいらしている大人の方でも時々出ています。
意味のまとまりで教えていくのは難しいんでしょうかねぇ。その辺り、皆さんはどのように思われますか。ご意見をお聞かせいただけると幸いです。
今更ですが、この下に表示されるリンクからこれをお読みいただいているデバイスのメーラーよりメールを送信していただけるように設定しました。
g-mail, hot-mailでかまいませんのでよろしければ是非、ご意見やここでお読みになりたいテーマなどをお知らせください。
内田
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2014/04/22
英語担当の内田です。
突然ですが、今日のテーマは「比べる」です。
春休み前のことですが、卒業生の一人が一ヶ月間の短期留学でサンディエゴに行く、ということでその報告に来塾。
そして四方山話の後、帰る段になり彼が一言。
"Anyway, I'll do my best."
と、決意表明をしました。
ここからが本題です。
中学校でも高校でも英語の授業で「比較最上級」という単元を学習します。
原級(元の形)があって、比較級(~より・・・)、最上級(もっとも~)というあれです。
件の大学生君は当然のごとく最上級のbestを使って「最大限頑張ります(ガッツポーズ)!」と決意の大きさを披露してくれたわけです。
最上級ですから当然ですよね。とにかく最上、最大なんです。
深夜を回っていたので(なぜか卒業生諸君はその時間帯に現れます)、
「それは言わない方がいいよ、向こうに行って自己紹介するときには。むしろI'm happy to be here.程度にしておきな」
とだけ言って見送りました。
さて、なぜこの"do my best"が好ましくないのでしょうか。
ヒントは「比較」にあります。
何事かと比べているわけですよね、比較級を使うときは。そして最上級も。
たとえば昨日まで病で伏せっていた人が体調を問われて答えるには、
"Much better, thanks.(ずいぶん良くなったよ、ありがとね)"か,
ちょっと暗めに "Could be better.(もうちょっと良くなってもいいんだけどさぁ)"
が適当でしょう。
あ、復活していれば
"I'm fully recovered, thank you.(難病が完治したよ)"
とか
"I'm well, thank you.(元気だよ)"
"I finally got rid of a cold!(やっと風邪が治った)"
くらいが定番でしょうか。
ともかく、比較しているわけですから、何かと比べてより良い場合に"better"、一番いいと思われる場合に"best"なわけです。
最初の話に戻すと、"I'll do my best!"と言うのを聞かされた人たちは、
何と比べてbestなんだ?
以前は手を抜いていたのか?
俺たちの中で一番になるのか?
と?マークが頭の上に浮かび上がってくるわけです。
まぁ、これも気持ちの表し方ですから一概に絶対だめとは言いませんが、避けた方が危険性は少ないでしょうね。
それでは、よく耳にする "Do your best!" はどうでしょう。運動競技の試合の前に言われますよね。
この言葉の裏側に、「君はもっとうまくできるはずだ、もっと頑張れ(信じてるぞ)!」という意味がこもっているわけですから大丈夫。
言われた方は、「そうか、俺はもっとできるんだ、よ~し、頑張ったるでぇ」と素直に受け取ればいいのです。
卑屈に「あーそうか、俺っていつも手を抜いているように見えるんだ」といじけなくてもいいのです。
言われたら素直に「よーし、やるぜ」と思いましょう。
最後に、私がまだ学生時代、手厳しい先生にこうやり込められました。
その先生、私のレポートをざっと目を通して一言、
"Do it again, Mr.Uchida."
私とすれば苦労して書いたのですから不満でした。が、食い下がるだけの英語力はありません。仕方がないので、
"I'm trying to do my best."
と答えたのです。「最大限の努力はしようとしてます」とね。
そしたらその先生は私の方を見もせずに(おーい、eye-contactはどうした?)また一言、
"Don't try, Uchida-san. Just do it、OK?"
今でもそのときの先生の口調は耳に焼き付いています。
このやりとりの詳しい話は今度の日曜日から開きます会話クラスでお話しします。
それまで待てない、こられない、という方はお問い合わせください。
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2014/03/27
英語担当の内田です。実は塾長だったりもしますが・・・。
今度、当館において「ちょっと変わった英会話」コースを始めます。
どこが変わっているか、をお話しします。
挨拶から入って自己紹介したり、日々のことをお話しする。
まぁ、たいていの英会話スクールや教室で行うレッスンの流れとちょっと違うことをやってみたいというリクエストにお答えする形で始めるコースです。
今世紀初頭・・・大げさな言い方をすると・・・Workout English Assistというのを併設していましたが、その中でやっていたことともちょっと違う。
会話は言葉のキャッチボールですが、いつも直球ど真ん中の投げ合いばかりとは限りません。変化球あり、スローボールあり、デッドボールもある。そうした何でもありのキャッチボールを一緒に楽しみながらやっていこうというものです。
そのほんの一例となるskitをお見せします。
Tom: Hey, Sam. Know what?
Sam: Hi. No, what?
たったこれだけです。英語に堪能な方、「そんな会話あり得ねぇよ」なんて野暮なことをおっしゃいませんように
無論、前後にいろいろな言葉が入りますし、TomとSamの間柄も関係してきます。流れの中の一部分に過ぎません。
では、なぜこんな例を出したのかというと、この会話(文字にするともうバレバレなのですが)、声に出して実際に話してみるとイントネーションやピッチ、トーンを変えることでいろいろな状況に発展していきます。そのいろいろな状況を想定して会話を発展させていく、その状況をみんなで楽しもう。
それには文化的な背景とかも入ってきます。それをご説明しながら実際に会話を楽しんでいただくことに重点を置いています。
まだあります。
日本では未公開のアメリカのテレビドラマ。1話43分前後を英語音声英語字幕で鑑賞してから字幕をつけていきます。
正しい字幕なのかどうかは日本で公開されるときにならないと判りません。またそれが本当にあっているのかも実は不明なのですが。
あらすじ(要約-recapitulationまたはepisode guide)は判っていますし(本国の番組サイトに掲載されていることが多いので)、その配役を演じている俳優さんの表情、やりとりから察していって日本語に置き換えてみるわけです。もちろん文法的な事柄や独特な言い回しは解説しますし、辞書も引いてもらいます。
これまでに何度か別の機会に実施したことがありますが、中学校レベルの英語力と辞書をきちんと引くことが出来ればさほど間違った字幕にはなりません。
映像では1秒間のコマ数とか表示時間の制限から簡潔にまとめられてしまうため、それにとらわれない方がしっくりくる場合もあります。
翻訳者(参加者)の主観たっぷりで行うために間違えることの方が多いですが、かなり楽しんでいましたし、会話の教則本にはないいろいろな表現を学ぶことができました。
受験英語では間違えることは不合格につながります。かといって、いつまでもステロタイプな会話表現、自己紹介やお買い物、お店紹介だけでももの足りません。
今回設定するコースは間違えることを楽しみながら、より英語に親しんでいただこう、身近なものにしていただこう、会話を楽しんでいただこう、と意図しています。
ふるってご参加ください。
このコーナーは「アシストの取り組み」と題しているのに、宣伝になってしまいましたが、この英会話コースの進め方も「取り組み」の一つですので書くことにしました。
P.S. 上記の会話でのやりとり。どんな展開になるかの種明かしはお試しレッスンでのお楽しみです。
2014/03/37
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